hiden-cubistのブログ

機械学習などの技術や投資に関する情報を記事にしています。

ウォール街のランダム・ウォーカー【年代別推奨ポートフォリオ】

年代別推奨ポートフォリオ

以前の記事で、インデックス投資の定番書である「ウォール街のランダム・ウォーカー」を紹介しました。

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インデックス投資における資産運用、アセットアロケーションの原則については以下の記事で紹介しました。

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それでは、インデックス投資において具体的にどのようなポートフォリオを組めば良いのでしょうか。この記事では本書で推奨されている年代別のポートフォリオついて説明します。

基本方針

世界の経済成長に伴い高いリターンが期待される株式のインデックスファンドを中心に投資していきます。しかしながら株式だけではなく、その他の資産も組み入れて運用することが推奨されています。

まず、不慮の医療費や失業に備えて手持ちの現金を一定程度持つ必要があります。次に、REITと呼ばれる不動産投資信託についても一定程度保有すると良いでしょう。REITは株式との値動きの相関が低いためリスクヘッジになる上に、インフレが加速している局面では株式を上回るリターンが得られる可能性が高く、インフレヘッジになります。また、同じく株式との相関が低い債権についてもポートフォリオに組み込むことで、リスクが分散されるでしょう。

20代推奨ポートフォリオ

20代推奨ポートフォリオ

20代の場合、時間的余裕と今後の収入が期待されることから、積極的な運用が推奨されています。 特に、株式の中でもハイリスクハイリターンの新興国株式の比率を多く組み入れても良いでしょう。

30代〜推奨ポートフォリオ

30~40代推奨ポートフォリオ

50代推奨ポートフォリオ

30~40代、50代と年齢が上がるにつれて、比較的リスクが高い株式への投資の割合を減らし、債権のような比較的低リスクな投資の割合を増やしていきます。

60代〜推奨ポートフォリオ

60代~推奨ポートフォリオ

定年後はさらに、債権への投資の割合を増やしていくべきでしょう。また、株式においても成長性よりも配当収入を重視したより保守的な運用にしていくべきです。

まとめ

年齢が若く収入が多いほど、投資で失敗しても生活を維持していきやすいため、高いリスクを取って高いリターンが期待できる商品で運用することができます。年齢も高く収入が低い場合は、リスクが低く安定的なリターンが期待できる商品で運用するべきです。

以上が年代別の基本的な推奨ポートフォリオになりますが、個々人の投資のリスク選好や目的に応じてポートフォリオを適切に調節していくことが大事です。

これらの内容は以下の書籍でより詳細に述べられています。インデックス投資に関する定番書で、投資に関する本の1冊目としても非常におすすめです。

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ウォール街のランダム・ウォーカー【資産運用の5つの原則】

資産運用の5つの原則

以前の記事で、インデックス投資の定番書である「ウォール街のランダム・ウォーカー」を紹介しました。そこでは長期的にインデックスファンドに投資することの優位性について説明しましたが、実際に資産を運用する際にはどのような原則に従って投資するべきでしょうか。この記事では資産運用、資産配分(アセットアロケーション)の原則について説明します。

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リスクとリターンは比例する

より高いリターンを得るためにはより高いリスクを許容する必要があります。

例えば、1926年から2013年の大型株の年平均リターンは約10%ありますが、リターンは年平均で約20%変動しています。一方で、長期債の場合は年平均リターンは約6%であるものの、その変動幅は8%と大型株に比べて小さくなっています。すなわち、より大きなリターンが期待される金融資産であるほどそのリターンの変動幅が大きくリスクは大きくなることを表しています。

投資期間が長いほどリターンの変動は低下する

金融資産を多少の価格変動に動じず長期間保有し続ければ、リスクを軽減することができます。

例えばS&P500のような株式指数に投資した場合、1950年から2013年までの期間で年平均では約10%のリターンを上げていますが、1年単位で見ると最大で52%のプラスのリターンの年もあれば、37%のマイナスの年も存在します。すなわち、短期的には確実に十分なリターンを期待することはできません。しかしながら25年単位で見れば、年平均で約10%のリターンを上げているのは変わりませんが、もっともリターンの悪い25年を考えても8%のプラスのリターンと、変動がかなり小さくなっています。すなわち、投資期間が長いほどリターンの変動は小さくリスクが減少するのです。

ドルコスト平均法はリスク軽減に役に立つ

ドルコスト平均法とは、特定の金融資産をまとめて購入するのではなく、一定額を定期的に購入する投資法です。これによって、高値でまとめて購入してしまうことを避けることができます。また、一定額を購入することで価格が高い時は数量を少なく、価格が低い時は数量を多く購入でき、長期的に見れば有利になると考えられます。

相場が右肩上がりの場合は、はじめに全額投資した方がドルコスト平均法で投資するよりもより高いリターンを得ることができます。しかしながら相場は常に変動するもので時には暴落することもあります。ドルコスト平均法はそのような時にも一定額を購入することで、長期的にみればリスクを軽減することができるのです。

定期的なリバランスはリターンを高める

リバランスとは、株式や債権のような複数の資産の保有割合を調整することを言います。例えば、株式を60%、債権を40%の割合で運用を始めたのち、株式が値上がりする一方で債権が値下がりし、それによって株式が70%、債権が30%の割合に変わってしまったとします。その場合、株式の方が債権よりもリスクが高いため、運用当初よりもリスクが高まってしまっています。そこで、一部の株式を売却し、債権を追加で購入することで資産の割合が元に戻るように調整します。このようなリバランスを行うことで、リスクを取りすぎることを防げるだけではなく、値上がりした資産を売却して利益を確定し、値下がりした資産を購入することでリターンが高まることも期待できるのです。

リスクに対する選好と許容度は区別するべき

投資においてどれだけのリスクが取れるかはその人の年齢や収入によって異なります。年齢が若く収入が多いほど、投資で失敗しても生活を維持していきやすいため、高いリスクを取って高いリターンが期待できる商品で運用することができます。年齢も高く収入が低い場合は、リスクが低く安定的なリターンが期待できる商品で運用するべきです。

上の原則をふまえて、適切な投資戦略を取っていくことが重要だと言えます。これらの内容は以下の書籍でより詳細に述べられています。インデックス投資に関する定番書で、投資に関する本の1冊目としても非常におすすめです。

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ウォール街のランダム・ウォーカー 【書評・まとめ】

株式投資の絶対的定番書

株式投資に挑戦しようと考えているけれども、何を買うべきか悩んでいる人はいませんか?

この本は株式投資について調べると必ず名前が挙がる、1970年から版を重ね続けてきた定番書であり、そんな疑問の一つの答えが書かれています。

これから株式投資をしてみようと考えている人、特にインデックス投資に興味がある人は必読の一冊です。

ひたすらインデックスファンドに投資すべき

著者のバートン・マルキール氏は、資産運用のプロとしての実務経験、エコノミストとしての研究成果、さらには個人投資家としての経験をもとに、ひたすらインデックスファンドに投資して待っているのが良いと結論づけています。

彼によれば、個人投資家は個別の株式を頻繁に売買したり、プロの投資家が積極的に運用する投資信託に投資する必要はないのです。

株式市場のランダムウォーク

ランダム・ウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」ということを意味する言葉である。これを株式市場に当てはめると、株価が短期的にどの方向に変化するかを予測するのは、難しいということだ。

将来の株価を予測することは大変難しいものですが、なんとかして予測しようとするプロの投資家のアプローチは主に二つあります。 テクニカル分析ファンダメンタル分析です。

テクニカル分析

テクニカル分析とは、一言で言えば株価のチャートを解釈することです。例えば、株価の上昇トレンドや一定の株価を下回るような弱気のシグナルを読み取って株を売買します。

株価のチャートには、他の投資家の過去の行動が現れます。それを読み取ることができれば投資ゲームに勝つことができるという考え方です。

ファンダメンタル分析

ファンダメンタル分析は、企業の財務諸表などから、将来の利益や配当を予測することです。すなわち、企業の本質的な価値を推定し、現在の株価がその価値よりも小さければ買い、大きければ売りと判断します。

プロの投資家の成績表

では、これらのテクニックを利用して積極的に投資を行ったプロの投資家の成績はどれほどなのでしょうか?

確かに短期的に見れば、市場の平均よりも高いリターンを得られたファンドも多く存在します。しかしながら長期的に市場の平均に勝ち続けるのは至難の技です。

本書で述べられているデータによれば、1970年に存在した株式ファンド358本のうち、2013年までに存在し続けることができた優秀なファンドはわずか84本に過ぎません。そのうち平均リターンが市場平均を2%以上上回ったものは片手で数えられるほどしか無いのです。

インデックス投資

それではどのようにウォール街を歩けば良いのでしょうか。

その一つのアプローチは、S&P500のような指数と同じ動きをするようなインデックスファンドを買うことです。インデックスファンドは手数料が非常に安く、積極的に運用されるファンドの平均よりも一貫して高いリターンを上げています。

本書では、インデックス投資を軸として年代別の具体的なポートフォリオや投資、財産管理のための戦略についても詳細に述べられています。 この本に書かれたキーワードをスタートとして別の立場から書かれた本を読み進めるのも良いでしょう。

私自身も、この本に影響されて少額ながらインデックス投資を始め、利益を上げています。

訳も分からず株式に投資する前に、一冊の本に投資するのも良いのでは無いでしょうか?

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有限仮説集合がPAC学習可能であることの証明

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以前の記事で、有限仮説集合と実現可能性を仮定した場合、十分に訓練データが多ければ経験損失最小化によって近似的に期待損失を小さくできることを示しました。今回はこれを一般化したPAC学習について述べた後、実現可能性の仮定を外すことを考えます。

  • PAC学習可能
  • 一様収束
  • Hoeffdingの不等式
  • 有限仮説集合はPAC学習可能
  • まとめ
  • 参考文献
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IssueとPull Requestを出す時のメモ

OSSにIssueとPull Requestを出す手順をメモしておきます。慣れれば手順は簡単なので、自分ができることから積極的に色々なOSSに貢献していきたいですね。

  • Issue
  • Pull Request
    • 新しくforkする場合
    • すでにforkしてある場合(本家の最新版と同期させる)
    • 以下共通
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ベイズ推定とグラフィカルモデル Section10 Worksheet

ベイズ推定とグラフィカルモデルの略解をまとめています。あくまで個人のメモですので、必ずしも正しい保証はありません。もしミスがある場合は教えていただければ幸いです。今回はSection10です。

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過学習を防ぐ2つの方法!〜統計的機械学習の基礎〜

  • 機械学習過学習
  • 期待損失
  • 経験損失
  • 経験損失最小化
  • 有限仮説集合
  • 実現可能性
  • 有限仮説集合と実現可能性を仮定した期待損失
  • まとめ
  • 参考文献

機械学習過学習

機械学習モデルを訓練すると、しばしば過学習に陥ります。過学習というのは訓練データに過剰に適合してしまい、未知のデータに対してうまく適合しなくなってしまう、すなわち汎化能力が低い状態を表します。過学習を防ぐためには訓練データを増やせば良い!と言われることがありますがそれは何故でしょうか?ここでは統計的機械学習の理論から過学習を防ぐ方法について考えてみようと思います。まずは、未知のデータや訓練データに対してモデルがどれほど適合しているかを表す期待損失、経験損失を定義しましょう。

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