ウォール街のランダム・ウォーカー【資産運用の5つの原則】
ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理
- 作者: バートン・マルキール,井手正介
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2019/07/20
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
資産運用の5つの原則
以前の記事で、インデックス投資の定番書である「ウォール街のランダム・ウォーカー」を紹介しました。そこでは長期的にインデックスファンドに投資することの優位性について説明しましたが、実際に資産を運用する際にはどのような原則に従って投資するべきでしょうか。この記事では資産運用、資産配分(アセットアロケーション)の原則について説明します。
リスクとリターンは比例する
より高いリターンを得るためにはより高いリスクを許容する必要があります。
例えば、1926年から2013年の大型株の年平均リターンは約10%ありますが、リターンは年平均で約20%変動しています。一方で、長期債の場合は年平均リターンは約6%であるものの、その変動幅は8%と大型株に比べて小さくなっています。すなわち、より大きなリターンが期待される金融資産であるほどそのリターンの変動幅が大きくリスクは大きくなることを表しています。
投資期間が長いほどリターンの変動は低下する
金融資産を多少の価格変動に動じず長期間保有し続ければ、リスクを軽減することができます。
例えばS&P500のような株式指数に投資した場合、1950年から2013年までの期間で年平均では約10%のリターンを上げていますが、1年単位で見ると最大で52%のプラスのリターンの年もあれば、37%のマイナスの年も存在します。すなわち、短期的には確実に十分なリターンを期待することはできません。しかしながら25年単位で見れば、年平均で約10%のリターンを上げているのは変わりませんが、もっともリターンの悪い25年を考えても8%のプラスのリターンと、変動がかなり小さくなっています。すなわち、投資期間が長いほどリターンの変動は小さくリスクが減少するのです。
ドルコスト平均法はリスク軽減に役に立つ
ドルコスト平均法とは、特定の金融資産をまとめて購入するのではなく、一定額を定期的に購入する投資法です。これによって、高値でまとめて購入してしまうことを避けることができます。また、一定額を購入することで価格が高い時は数量を少なく、価格が低い時は数量を多く購入でき、長期的に見れば有利になると考えられます。
相場が右肩上がりの場合は、はじめに全額投資した方がドルコスト平均法で投資するよりもより高いリターンを得ることができます。しかしながら相場は常に変動するもので時には暴落することもあります。ドルコスト平均法はそのような時にも一定額を購入することで、長期的にみればリスクを軽減することができるのです。
定期的なリバランスはリターンを高める
リバランスとは、株式や債権のような複数の資産の保有割合を調整することを言います。例えば、株式を60%、債権を40%の割合で運用を始めたのち、株式が値上がりする一方で債権が値下がりし、それによって株式が70%、債権が30%の割合に変わってしまったとします。その場合、株式の方が債権よりもリスクが高いため、運用当初よりもリスクが高まってしまっています。そこで、一部の株式を売却し、債権を追加で購入することで資産の割合が元に戻るように調整します。このようなリバランスを行うことで、リスクを取りすぎることを防げるだけではなく、値上がりした資産を売却して利益を確定し、値下がりした資産を購入することでリターンが高まることも期待できるのです。
リスクに対する選好と許容度は区別するべき
投資においてどれだけのリスクが取れるかはその人の年齢や収入によって異なります。年齢が若く収入が多いほど、投資で失敗しても生活を維持していきやすいため、高いリスクを取って高いリターンが期待できる商品で運用することができます。年齢も高く収入が低い場合は、リスクが低く安定的なリターンが期待できる商品で運用するべきです。
以上の原則をふまえて、適切な投資戦略を取っていくことが重要だと言えます。これらの内容は以下の書籍でより詳細に述べられています。インデックス投資に関する定番書で、投資に関する本の1冊目としても非常におすすめです。
ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理
- 作者: バートン・マルキール,井手正介
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2019/07/20
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る